イースター島の謎(2)

島中どこ行ってもこんな感じ



タヒチパペーテを深夜に飛ぶ。
ラン・チリ航空、サンチャゴ行き。だったと思う。
その途中で、イースター島を経由する。


着陸前、上空から島が見える。
島の周りは、どこも断崖絶壁。
海の色が濃いのが印象的。


着いたのは昼頃だったか。
ほぼ満席の乗客のほとんどが降りる……のかと思ったら、ほとんど降りない!
そうなの? みんなチリへ行くの?


タラップで飛行機を降りる。
空港のビル(て言うか小屋)まで歩く。
いっしょに降りた人々は、せいぜい100人くらいか。
日本人、少ない。
白人が多い。
イースターには、週に2〜3便しか飛行機が来ないから、空港も閑散としている。


入国審査等、しただろうけど、記憶にない。
空港に、ホテルまでの送迎バスが待っていて、同じツアーの人々といっしょに乗り込む。
日本人、いない。


街に出ても、とにかく人がいない。
やたらと静かだ。
何かちょっと異様な雰囲気で、どきどきする。
よく銀河鉄道999か何かで、鉄郎とメーテルが荒涼とした星に着いて、その不思議な光景に戸惑ってるみたいな。
メーテルが「この星の人たちはね……」とか説明し始めそうな。
そんな感じ。
一見誰もいないように見えるが、建物の陰に隠れて、地元民たちがこちらの様子をうかがっているのかもしれない。


街と言っても、イースター島の街(じゃなくて村だったか)は、島の左の隅っこにちょこっとあるだけで、他はずっと野っ原。
石畳の街はすぐに終わって、赤土の道にかわる。
バスはいくつかのホテルをまわり、少しずつ客を降ろしながら、最後に我々の宿泊する「ホテル・ホツマツア」に到着。


ホテルは平屋建て。
村のはずれにある。
コテージ形式と言うか、長屋風と言うか。
正面から見るとただの民家のように見えて、着いたときは「これはやばい」と思ったけれども、中に入ってみると奥行きが深く、一応小さなプールもある。
そのプールを囲むように、客室が連なっている。
部屋も、まあまあ問題ない。


フロントに向かう。
誰もいない。
チェックインできない。
いっしょにこのホテルに着いた観光客たち数名と、待つことしばし。
やっとホテルの人が出てきた。
そして、この人物こそが、何を隠そう、このイースター島における最大の謎であるということに、我々がこの時点で気づくはずもなかった。
便宜的に、この人の名をゴンザレスとしておこう。
訊かなかったから、ほんとの名前は知らない。
コミュニケーションは英語で行った。
ゴンザレスはその後、我々の旅に強烈な印象を残すことになる。


この日の午後は、当初、島内の半日観光ツアーの予定になっていた。
しかし、到着するなり、翌々日への変更を告げられる。
ぽっかり半日空いたので、レンタカーで島を回ることにした。
案内なしでいきなり自力で島内を回ることになったわけだけれども、これがまた結果的に、イースター島の不思議感を強めた。


村の中心部へ向かう。
やはり通りには人っ子ひとりいない。
しかし、店の中に入るとやっぱりちゃんと店員はいて、にこやかに対応してくれる。
みんな人なつこい。
が、いや、油断してはいかん。
ワナかもしれない。


レンタカーを無事ゲット。
左ハンドルのマニュアル車しかなく、右手でギアチェンジするという人生初の試みとなったが、そもそも人も車もいないから、さほど怖くない。
ときどき馬に乗った人が道へ飛び出してくるくらいだ。
ともあれ、移動手段を手に入れ、我々は早速イースター島探検に乗り出したのであった。


(つづく)