思春期の刷り込み

住居スペースの都合でアナログレコードの再生環境を撤去してからしばらくになるけれども、ビートルズは全てアナログ盤で所持していて、聴くことができないので、ときどき思いついたときに、少しずつＣＤで買い直している。
今日は『HELP!』が届いて、早速聴いてたら、色んなことを思い出した。

ぼくが初めて買ったビートルズのレコードは、ちょっとはっきりしないんだけれども、たぶんこの『HELP!』か『マジカル・ミステリーツアー』のどっちかだと思う。
そのせいだと思うんだけれども、ぼくはこの２枚が妙に好きだ。
今まで、「ビートルズでいちばん好きなアルバムは？」というような話になる度に、「ホワイトアルバム」と答えていたのだけれども、やっぱ違うかもしれない。
『HELP!』か『Magical Mystery Tour』かもしれない。
この２枚を挙げる人はほとんど見たことないし、客観的に判断してみると、特に『HELP!』はぼくの趣味ではないと思う。
カントリー風味のルーツ志向の強いアルバムなので、どちらかと言うとむしろぼくの苦手な傾向だと思う。
それでも、このアルバムのムードと流れ全体が、もう完全に体に刷り込まれていることに、今日聴き直して気が付いた。
好きだ、このアルバム。
なんか異様に好きだ。
聴いてると、体全体に甘酸っぱいものが込み上げてきて、ちょっと感極まってきてしまう。
思春期の刷り込みというのは実に恐ろしい。

ぼくがアナログで持っていた『HELP!』はモノラルだけれども、ＣＤは、全世界で『HELP!』以降はステレオに統一されている。
よく考えたら、ステレオの『HELP!』を聴くのは、たぶん初めてだろう。
なんせモノラルの方ももう何年も聴いてないので、曖昧な印象だけれども、「HELP!」や「DIZZY MISS LIZZY」のような曲は、モノラルの方が勢いがあっていいように思う。
でも、それ以外の曲はステレオが非常に新鮮でよかった。
（今、ネットでざっと調べたら、「HELP!」はステレオとモノラルでテイクが違うらしい！　知らなかった）

『HELP!』『Magical……』とほぼ同じ頃に買ったのが、たぶん、『Second Album』というやつ。
確かアメリカでの２枚目で、『With The Beatles』と収録曲はほぼ同じだけども、曲順が違う。
これも刷り込まれてます。
やっぱ、おれ、ビートルズは初期が好きかも。
この、なんちゅうか、青春の勢いと切なさ？(笑)　この甘酸っぱさには、抗いがたい魅力を感じます。
たぶん刷り込まれてるからだと思うけど。
『Please Please Me』では、さほどこないから。

ついでに言うと、ツェッペリンでいちばん好きなのは、『Presence』でも『Ⅳ』でも『フィジカル・グラフィティ』でもなくて、『聖なる館』(笑)。
理由はたぶん、初めて買ったツェッペリンだから。
そしてそれ故、いちばん聴き込んだから。
中１か中２。
このアルバムを選んだ理由は、ジャケットがイエスやクリムゾンに似て、プログレっぽかったから(笑)。

生まれて最初に見たモノを親と思う。
思春期の刷り込みからは、一生逃れられないのだろうと思います。