ニューヨークの夢


今の職場は商業ビルの中にある。
先週から、ビルの中はクリスマス仕様になって、中央の吹き抜け部分には3階にまで達する巨大なツリーが設置され、何千個だかの電飾が取り付けられた。
オフィスのフロアから一歩出ると、館内にはBGMが流れていて、それもクリスマス・ソングばかりになっている。


ちょっとタバコを吸いに出たり、昼休みに出たりしたときに、館内に流れている音楽(インチキっぽいエレベーター・ミュージック等ではなく、割と気の利いたAOR系が多い)を聴くのは、ささやかな楽しみになっているのだけれども、真夏は妙なラテン系ばかりでつまらなかった。
今のクリスマス特集も、やたらと同じ曲ばっかりかかるので、既にちょっと食傷気味になっている。


もともとクリスマスは好きだし、クリスマスソングはもっと好きだ。
でも、世間では、ビーチボーイズやジャクソン5のクリスマス・アルバムのような、ほんとに幸せなクリスマス・ソングはほとんどかけずに、何故かバンドエイドとかワムとかマライア・キャリーとかばっかりを執拗に流す。
バンドエイドの例のやつは、間違いなく駄曲だと思う。
ワムは好きだけど、「ラスト・クリスマス」がそんなにいい曲とは思えない。


そんな中で、ヘビーローテーションにも関わらず、耳にする度、癒される気分になるのが、ポール・マッカートニー「Wonderful Christmastime」と、ポーグスの「Fairytale of New York」。
「Wonderful Christmastime」は、ポール作品の中では、さほど出来のいいものとも思えないけれども、バンドエイドとの並びでかかると、やたらほっとする。
ポーグスの方は、文句なく傑作だと思う。


名前忘れたけど、ポーグスの、あの何とか言う歯の抜けたボーカルと、カースティ・マッコールのデュエットで、曲もいいけど、詞も気が利いている。
この曲の当時は、大学生だったか。
邦題は、確か「ニューヨークの夢」だ。
詞はストーリー仕立てで、全体的に面白いんだけれども、特にサビのフレーズが忘れられなくて、流れるたびに英文が頭に浮かぶ。
引用します。


The boys of the NYPD choir
Were singing "Galway Bay"
And the bells were ringing out
For Christmas day


NYPDは、ニューヨーク市警ですね。
訳するならば、
 ♪ニューヨーク市警少年合唱団が
  「ゴールウェイ・ベイ」を歌い
  クリスマスを告げる鐘が
  鳴り響いていた
といったところでしょうか。


このイギリス人らしいシニカルなウィットが妙に好きで、いまだに忘れられないフレーズになっている。
「ゴールウェイ・ベイ」というのは、漠然と、定番的なクリスマス・ソングか何かなんだろうと思っていたんだけれども、今ちょっとネットで調べてみても、よくわからない。
ただ、ニューヨークではなく、アイルランドの地名だということがわかった(笑)。
久しぶりにこの詞のことを思い出して、なおかつ、「ゴールウェイ・ベイ」にもウィットが込められていたということを発見して、ちょっと嬉しい気分になりました。


全体はこちら↓
http://www.pogues.com/Releases/Lyrics/LPs/IfIShould/Fairytale.html