T.REX研究室 その1


Tレックスが再ブームらしい。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/entertainment/rock_and_pops/?1119442505
って、何度目の再ブームだかわかんないくらいですが。


まだRCサクセション研究室がちっとも終わってないんだけれども、そういう情勢らしいので、ちょっと交錯するかもしれませんが、始めてみます。


上記ニュースによると結構売れてるらしい話題のDVD『ボーン・トゥ・ブギー』。予約までして発売後すぐ手に入れたんだけれども、もったいなくて、まだ観てません。
いや、もったいないっちゅうか、観るとなると気合いを入れて観たいんだけど、仕事がちょっとクレイジーな状態で、腰を据えて観る時間が取れない。
なんつっても、この映画はぼくの思春期の重要な一部なのであります。


Tレックスのリバイバルなんちゅうのは、ほんとに今まで幾度となくあったけれども、ぼくが初めてTレックスを知ったのは中2か中3の頃('81〜'82年?)で、再評価熱が一気に高まる前の時期である。
ここ15年くらいのTレックスの発売点数の多さは、もうジミヘンかTレックスかっちゅうくらいで、わけのわからないコンピレーションだのブートレグまがいの秘蔵音源だのリミックスだの何だの有象無象が次から次へと無闇に出されて、とてもじゃないけどフォローする気になれない。
でも、81〜82年頃のTレックスをめぐる状況というのは(当然まだCDはなくてレコードだけど)全く違ってて、オリジナル・アルバムすらほとんど廃盤で、手に入れるのに難儀した。
その頃普通に買えたのは、確か廉価盤の「スライダー」「タンクス」「グレート・ヒッツ」と、東芝が出してた編集盤の4枚だけで、それ以外は輸入盤を探すしかなかった。ぼくが持ってる「電気の武者」はドイツのキューブ盤で、忘れもしないけれども、3000円した。
今はなきSMSレコードが、ティラノザウルス・レックス時代からの全オリジナルアルバムを順次再発し始めたのが、たぶん82年の終わりか83年のアタマ。毎月数枚ずつの発売だったのだけれども、必死で小遣いをやりくりしてフォローしていったので、よく覚えている。行きつけのレコード屋のおばさんが、販促用の特大ポスターを2枚もくれた。


今回、アウトテイクも含めて高品位ビデオに生まれ変わった「ボーン・トゥ・ブギー」は、当時、まさに幻の映画だった。
逡巡に逡巡を重ね、清水の舞台から飛び降りるつもりで、海賊ビデオを買った。
高1か高2だったと思う。
当時で8000円だった。
当時は音楽雑誌に西新宿系のあやしい海賊ビデオの広告なんかがたくさん出てて、画質はAとかBとかランク分けされてた。
「ボーン・トゥ・ブギー」は、CだったかDだったか、とにかく、あらかじめ悪いってことはわかっていた。
それでも異様に高かったのは、「幻」だったからだ。
画像が悪いのも、わかってて買った。
そしたら、ほんとに悪かった。
それでも死ぬほど観た。
今でも実家のどこかに残ってるはずだ。
その後、数年経って、ちゃんとした画像のものがちゃんとしたところから発売されて、もちろん買ったけれども、もうあまり観なかった。


高校時代、深夜に親が寝静まってからひどい画質のビデオを何度も繰り返し観たのは、あれはなんだったのだろうか。
マーク・ボランのファンタジー趣味全開の実にシュールな作品で、その当時から、あからさまにB級映画だと思ってた。
ライブ・シーンの演奏の下手さ加減も、お話にならない。
それでも、マーク・ボランの確信に満ちた、アイドル然とした立ち居振る舞いが、あまりにかっこよかったのだ。


そういういきさつなので、今回のDVDは、そう簡単に観るわけにはいきません。
コンディションが整って、心の余裕があるときに観ます。