学校週休2日制と総合的な学習の時間(6)


標準的な、50分×6限で考えます。
土曜日も授業があった頃は、月〜金が6限、土曜が4限で、週あたり34時間。それが完全週休2日になると、週30時間になるわけだから、1割以上の時間減です。
しかも、小中学校の内容が薄くなり、大学入試は変化がないわけだから、高校に課せられるノルマは以前よりも増えています。
と思ってたら、近年、大学入試が更にキツい方向へ変化し始めました。大学生の学力低下が問題視され、入試科目が増えたんです。来年度入試からは、ついにセンター試験にリスニングも導入されます。
つまり、かつてよりも1割以上少ない時間数の中で、課せられるノルマはどんどん増えている状態です。「ゆとり教育」が謳われるようになって以来、どんどんゆとりがなくなってます。


そして、昨年度から、ついに新カリキュラムが始まりました。
最大の目玉は、「総合的な学習の時間」です。高校の場合だと、各学年とも1単位ずつが必履修です。34が30に減って、どうやってカリキュラムを組めばいいのか、進学校は頭を抱えましたが、そこへ更に総合学習をねじ込まなければなりません。もはや週29単位です。
更に更に、「情報」というのも入りました。これも必履修。3年間で最低2単位です。プログラム言語を操る者もいれば、電源の入れ方すらわからない者もいる、そういう40人を、莫大な予算を注ぎ込んで完成させたパソコンルームに入れ、パソコンを教えます。誰が? どうやって? 「情報」の先生というのは、まだあまり数が存在しません。たいていは臨時免許を取って、「たまたまパソコンが得意な先生」がやってるケースが多いんじゃないでしょうか。まるで時間の無……、いやいや、それは言いますまい。


一般的な認識としては、「総合学習っていったい何やんの?」って感じでしょうが、それは現場の教員にとってもまるで同じです。何やればいいの?、とみんな思いました。今でもそう思ってる人、多いでしょう。
一般の人と同じくらいわからないんですけれども、教員の場合は、わからなくてもとにかくやらなければなりません。しかも、この1単位でも惜しい、1分たりとも無駄に使いたくない情況の中で、です。
総合学習は、直接担当するのはおそらくHR担任であるケースがほとんどでしょうが、それを統括して、年間を通じての学習計画を立案する担当者が各学校に存在するはずです。その人たちは、頭を抱えました。
進学校の場合は、少しでも有効利用できるようにと、「進路研究」の名の下に、大学の内容や志望校の選定等をやったり、或いは、最近増えつつある論文入試に対応するため、小論文の練習に充てたりしているケースが多いようです。ベネッセなんかは、その辺の事情を見透かして、そういうことをやるための教材を作って商売してます。
いずれにせよ、「やりたかないけどしょうがないからやってる」的なムード、むんむんしてます。それは生徒にも伝わりますから、「何でこんなことやらされなきゃならんのか」的なムード、むんむんになります。
先週くらいの報道で、文科省の役人が、小学校低学年の「生活科」も見直すって発言したとの報道がありました。やっぱり教師は何していいのかわからなかったんでしょう。やたらと小学校に「ウサギ小屋」が増えたそうです。


ちょっともう1度きっちり計算してみます。
以前は、週34単位が3年間で102単位。
それが今では、30×3=90単位。さらに、総合学習と情報が捨てゴマだとすると、3年間でマイナス5単位として、85単位。
85÷102=0.8333333333333333333333……。
なんと約17%も授業時間が減っているではないですか。
にもかかわらず、課せられるノルマはどんどん増える一方。
逆に、102÷85=1.2
やっぱり高校生の日常は、単純計算で、日々2割の負担増。さらに受験科目数や学習内容の増加分を加味すると、それ以上ということになります。
不登校が増えるのも、当たり前かもしれません。


このシリーズ、これでいったん終わります。