『和田ラヂヲの嫁に来ないか? 第一巻』を読む


自由律俳句には、可能性を感じる。尾崎放哉という名前くらいは知っていたけれども、ちゃんと鑑賞したことはなかった。100年近く前の作品とはとても思えない。それどころか、正に21世紀のセンスだと感じる。

墓のうらに廻る


とか、すごく好き。和田ラヂヲの慧眼に感服する。
ラヂヲ本人や読者の作品は、マンガ付きであることを前提としているせいか、さすがに言葉だけを取り出したときの質ではオリジネーターには及ばないが、中には傑作もある。

箱と中身が違う
主人がまたおかしい
それなら最初の方がよかった


など、いずれも素晴らしい。


ところで、今いちばん勢いのある自由律俳句は、レギュラーの「あるある探検隊」ではないか。

三回ぐらいでコツつかむ
隣のじじいの犬逃がす
見えるとこまで誘い出す
笑てるばばあの口ふさぐ
合格したのに叩かれる
テンション上げ時まちがえる
力士に鼓膜を破られる


等々、思い出すままに書いただけでも、傑作揃いだ。松本人志木村祐一が深夜枠でしか発揮できなかったようなセンスを、子どもも喜ぶノリで展開している功績は絶大といえよう。
あ、て言うか、今気づいたけど、これ、自由律って言うか、むしろ伝統的な七五調なのか……。
自由律俳句の句会とか、開きたいなあと思う。