インディアン・コーラ


風呂上がりに飲むビールは最高だ、とみんなよく言う。確かにそう思う。しかし、それは空腹時に限る。夏の暑い時期、仕事から早めに帰ってきて、メシの前に風呂に入って、そんでもって出てきてすぐ飲むビールは、死ぬほどうまい。
でも、ぼくは通常、食後に風呂にはいるので、ちょっと事情が違う。いくら風呂上がりでも、腹いっぱいではビールはさほどありがたみがない(おいしいけど)。
風呂上がりに適した飲み物、それはヤクルトだ。甘さと量のバランスもよい。あの甘さであれ以上の量があると、くどい。
うちは、嫁も2人の子どもも、全員がほぼ毎日1本ずつ飲むので、異常なくらいのヤクルトを消費する。ヤクルトレディーが毎週木曜日に売りに来る。ジョアも買う。ソフールも買う。体内はカゼイシロタ菌だらけかもしれない。
ちなみに、ヤクルトレディーが持ってくるやつは、店に置いてあるやつより賞味期限が迫っているものが多いようだ。でも、すぐに飲むから気にしてない。


そう言えば、以前は風呂上がりに、「インディアン・コーラ」を愛飲していた。インディアン・コーラを知ったのは、高校の夏である。
当時、何かの雑誌(スタジオボイスだったような気がする)のエッセイに、高橋源一郎が書いていたのを読んだ。コーラと牛乳を1:1で混ぜて、氷を浮かべる。それだけ。それがインディアン・コーラである。読んですぐ試してみたくなり、恐る恐る飲んでみたところ、これが非常に美味い。コーラの刺激と過剰な甘みが牛乳によってほどよく中和される。家族はみな気味悪がったが、真剣に、これは相当に美味いと思った。今でも夏はよく作る。
その後自分でアレンジを加え、インディアン・スプライト、インディアン三ツ矢サイダー等を開発、常用するようになった。スプライトや三ツ矢サイダーは無色透明なので、仕上がりの見た目が退屈だが、味は問題ない。ファンタはさすがに試さなかった。オレンジだのグレープだのが牛乳と合うとは思えないからだ。
そして試行錯誤の末、最後にたどり着いたのは、インディアン・オロナミンCだった。これがベストなのである。コーラよりも美味い。色も、淡い黄緑〜黄色で美しい。この実験に成功したときは、感動した。周りのみんなにもったいぶってから教えてやった。誰も試してくれなかったけど。
でも、あとになってよく考えたら、これって、昔の大村昆のオロナミンCのCMでやってたんじゃないかという気がしてきた。なんか、オロCのいろんな飲み方を紹介するCM。ものすごく昔、子どもの頃に見たやつなので記憶が曖昧だけれども、タマゴとオロCを混ぜてたのをうっすら覚えている。あのバリエーションの中に、既にオロC+牛乳というのがあったのではないかという疑念が起こったのだ。いや、それともあれはミルクセーキにオロCを混ぜてたのか。
インディアン・オロナミンCが、ぼくの発見なのか、それともとうの昔に、大塚製薬によって推奨されていたのか、誰かあのCMを覚えていないだろうか。