ゴミを分ける


今どき、大都市以外はどこでもそうなのかもしれないけれども、うちのあたりもゴミの分別がやたらと細かい。
可燃、プラスチック、金属、ビン、不燃、資源ゴミ、と、6種類に分類しなければならない。いや、プラスチックはさらに硬軟2種に分けなければならないから、7種類か。


ゴミを分けるのは、ぼくの仕事になっている。家人はこういう細かい作業がダメで、可燃とプラスチックとその他にしか分けられない。一方、ぼくはこういう作業にめっぽう強い。
しかし、こうも分別が多いと、ゴミを置いておくのにかなりのスペースが必要で、マンション住まいの我が家は、裏のバルコニーがほとんどゴミ捨て場と化している。そのバルコニーで、家人がごちゃごちゃに放り出したゴミをせっせと夜中に分別したりする。しかも、それがさほど嫌でない。


分けるとなったら、徹底的に分ける。ペットボトルはキャップをはずして、表面のラベルもひっぺがす。はずしたキャップとラベルはプラスチックごみ、残った透明の本体は資源ゴミだ。新聞や広告、パンフレットの類は、ホッチキスで綴じられたものとそうでないものに分ける。月に1度の作業だが、これがいちばん時間がかかる。
どこに分類すべきか迷うこともよくある。そういうときは、市に配布された説明書きを見る。ほぼ考え得る限りの具体例が列挙されていて、非常に楽しい。
意外な発見もある。革靴やビニールの長靴は可燃ゴミだったりする。しかし、ビニールホースはプラスチックごみ(硬い方)だ。うーむ。スーツなんかをクリーニングに出すとビニールに包まれて帰ってくるけれども、あのビニールも何故か「硬い方」のプラスチック。スプリング入りのマットレスは、なんと金属ゴミである。化粧品のビンはビンじゃなくて不燃ゴミ、しかし、目薬の容器はプラスチックごみ、しかも軟らかい方。……これでは何年経っても覚えられない。


そこまで細かく指示されていても、この詳細な具体例から洩れていて、どうしていいかわからないものもある。先日は、台所のレンジフードにつけていたフィルターで迷った。
油まみれになっているから、燃やせばすぐに火がつきそうだけれども、火のそばで使うものなんだから、そんなわけはない。「難燃性」と書いてある。すると、やはり不燃ゴミか。しかし、プラスチックもあやしい。だとすると、硬い方か軟らかい方か。
このように、グレーゾーンに属していながらも市の指図がないものは、覚えておいて、10コたまったら市役所に聞きに行こうと思っている。


ただし、ひとつだけ、はっきり言っておきたい。くれぐれもぼくは、環境のことを考えてこんなにゴミの分別に意欲を燃やしているわけではない。ただ単に、分類するのが何となく好きなだけだ。分けろと言われたら、分けなければいけない気が強くしてしまうだけだ。だから、ゴミを出しに行って、近所の人達の出したゴミがてんでデタラメな分別になっていても、怒りがわくことはまるでないし、ましてや人の出したゴミを整理し直したりするようなおせっかいもしない。分別は、その過程を楽しむものであって、結果には頓着しない。


だから、ぼくがサランラップの箱を、ぎざぎざの金属の刃の部分とボール紙とに分けていても、偉いですねー、とかは決して言わないでください。そこんとこ、よろしく。