T.REX研究室やりなおし(1)

Great Hits



このネタは前にやりかけたはずですが、何をどこまで書いたのか忘れましたので、やり直し。
気合い入ってます。
画期的なTレックス研究になります(笑)。
興味ある人は少ないでしょうけど。


実はここ数ヶ月、またTレックスをかなり聴いております。
きっかけは、1月頃に出た米RHINO からの再発盤。
丁寧なリイシュー作業で定評のあるライノですが、これまで安易で粗悪なプレスの多かったTレックスについても、ついに決定的な仕事をしてくれました。
リマスター、アートワーク、ボーナストラック、どれをとっても完璧。
まあブックレットは誤植が多いんだけども、アメリカ人にそこまで期待しちゃいけません。


デモ・バージョンやアウトテイク等が盛りだくさんなせいでどれも2枚組になってしまって、値段が高いのも玉に瑕だけれども、仕方あるまい。
なんつっても、リマスタリングが素晴らしい。
やたらと音圧を上げて押し出しの強い音にすりゃそれでいいと思ってるような、近頃よくある安直なリマスターではない。
個々の楽器の輪郭はあくまでもくっきりとしてなおかつ太く、細部まではっきりと聴きとれる。まさにデジタル・リマスターのお手本のような、丁寧な仕事だ。
今まで聞こえなかった音が聞こえます。
ライノさん、ありがとう。


正直言って、こんな歳になってもまだTレックスを聴いているとは思わなかった。
Tレックスに夢中になっていたのは、中学校から高校にかけての頃だったけれども、その当時でも、このバンドが音楽的にまったくデタラメであることはちゃんと認識していた。
10代の音楽だと思っていた。
しかし、げに思春期の刷り込みは恐ろしい。
いまだにぼくは、10代のときと変わらず、同じようにTレックスに感動できます。


しかも、それはどうやらぼくに限った現象ではないようで、事実、Tレックスの再評価熱は年を追うごとにどんどん高まり、今回のライノ盤以外にも、いまだに新発掘の音源や再発、再編集盤のリリースが止まらない。
死後の発売点数はとっくにジミヘンを超えていると思う。
情報収集だけで仕事になってしまうくらいの量だから、余程のマニアでない限り、全てをカバーしている人はいないだろう。
死後のリリースのほとんどはクズだけれども、ときどきとんでもないお宝が混じるので、なかなか油断できない。
特にここ1〜2年は、DVDを含め、実に素晴らしい仕事が目に付いた。


ぼくが中学生だった80年代初期は、日本盤で普通に入手できるのは、「The Slider」と「Tanx」と「Great Hits」と、東芝が出してたコンピレーションの4枚だけで、「Electric Warrior」すら廃盤状態だった。
忘れもしない、「Electric Warrior」は、中3のときに、3千円以上出してドイツ盤で買ったんだ。
それが今では、前身のティラノザウルス・レックスをはじめ、オリジナル・アルバムはおろか、ワケわからないくらいたくさんの企画盤があって、初めて聴く人は何を買っていいかわからないに違いない。(初めて聴く人は、とにかく「Great Hits」を聴きましょう)


全盛期からは、もう35年くらい経つ。
マーク・ボランが死んで、来年で30年だ。
にもかかわらず、いまだに毎月のようにリリースが続き、CFソングにも使われ、これだけの支持を得ているのは異常だと思う。
ビートルズツェッペリンやクイーンといった超メジャー以外に、こういうバンドはほとんどない。


何故これほどTレックスは支持され続けるのか。


実像以上のイメージの美しさ、というのも、もちろんあると思う。
死んでしまうと伝説化する。
特に20代という若さで死んでしまうと。
それと、男が化粧するっちゅう文化が、日本人は特に好きみたいだ。
そのオリジネーターであるというイメージは大きいのかもしれん。
結局、そういうイメージ的な部分に反応している若い衆が多いのではないか……。そう安直に考えていたこともあった。かつては。


でも、どう考えても、この息の長さはそれだけでは説明がつかない。
これだけ長い間、Tレックス・マニアを増やし続けているのは、やはり音楽の力に他ならない。(←はてなでもこうやって文字サイズ変えたりできるの、今日初めて知った)


イメージだけでは35年は到底もちません。
考えてみりゃ当たり前だ。
実際、今聴いても、古くなってないどころか、逆に新鮮だったりするのがすごい。


そう。それで、今回は、Tレックスを、純粋に音楽的に解析してみようという試みです。
前フリが長かったけど。
長すぎたから、もう明日にするけど。


Tレックスは、どうしてもマーク・ボランの生き様やパブリックイメージがおもしろすぎるから、批評においても、そうした面に重点が置かれがちだ。
Tレックスをまともに音楽的に論じた評論というのは、ほとんど見たことがない。
て言うか、そもそも、まともな音楽的批評に耐えられるほどの音楽性を持っていないと思われているのかもしれない。(ある意味正しいけど)
それよりも、マーク・ボランのミステリアスな人生とか、アイドルとしての魅力、ルックスや衣装について語る方が、ネタとして余程おもしろいし、商売にもなる。
商業ベースの雑誌でTレックス特集を組もうをしたら、どうしてもそういう方向になってしまうのも無理はあるまい。


でも、それでもやっぱり、これだけTレックスが支持されているのは、音楽の力であるはずだ。
こはちゃんと整理しておいてもいいだろう。


……というようなことを、ここ数ヶ月ぼんやりと考えておりまして、ほとんど誰にも読んでもらえないかもしれませんが(笑)、今日からちょっと続けます。