夜露


毎日駅まで自転車で通っている。朝早いので、改札のすぐ近くの駐輪場にも余裕を持って駐輪できる。シルバー人材派遣か何かのおじいさんたちが、無秩序にぐちゃぐちゃに駐輪された自転車をきちんと並べ直し始める、その少し前に、最終的には3列に並んで歩道まであふれかえることになる自転車群の、いちばん奥のスペースに駐輪する。手前の方が帰りに出しやすくていいのだけれども、手前は移動もされやすいし、倒されていることも多い。移動されてしまうと、見つけるのに時間がかかる。いちばん奥だと、帰ってきたときも、たいていは朝置いたのと同じ位置にある。
帰りは8時前後になることが多い。ここ数日は、サドルに夜露がついて、その時間にはすっかり濡れてしまっている。電車から降りてきた人たちが一度にたくさん駐輪場にやってきて、自分の自転車を見つけてから、みんな一斉にハンカチを取り出して、サドルの夜露を拭き取っている。自分もその一員ながら、この様子がなんとなくおかしい。
夜露を拭いていると、いつも井上陽水の、「♪思ったよりーもー、夜露はー冷たくー」っていう曲が頭に浮かぶ。タイトルは何だったか忘れたけど、陽水と清志郎の共作で、AメロはRCの「指輪をはめたい」とだいたい同じだから、詞が陽水で曲が清志郎なんだと思う。