CDと2歳児


上の息子は、2歳前後からCD棚にいたずらをするようになった。うちのCD棚には、何百枚か、もしかすると千数百枚か、よくわからないけれども、とにかく膨大なCDが並べてある。それを片っ端から取り出しては、床にぶちまける。まだ小さくて不器用なので、ケースを開けて中のディスクを出すことは出来ないのだけれども、引っ張り出しては放り投げるので、ケースが割れたりヒビが入ったりして手に負えない。常に監視するわけにもいかず、どうにも防止できないので、段ボールでCD棚全体をカバーし、さわれないようにした。自分が出したいときにいちいちカバーをはずさなければならなくて、面倒で仕方ないのだけれども、やむを得ない。
そうした経験から、うちより後で子どもが生まれた友人などに対しては、「そのうちCDとか引っ張り出して投げるようになるんだ。対策が大変だぞ」などと警告していたのだけれども、次第に、こうした行動は子ども全般に大して当てはまるような一般性のあるものではなく、むしろうちの子どもに特徴的な、極めて特殊な行動であることがわかってきた。


下の娘は、先月2歳になったところである。同じようにCDに関心は示すものの、行動は全く異なる。1枚1枚を丁寧に取り出してはしげしげと眺め、その後、また元の位置に戻す。その姿を見てぼくは感動したのだけれども、おそらくはむしろこれが一般的な2歳児の行動なのかもしれない。


マドルが奥さんと、子育てや躾について、ああでもないこうでもないと議論していたら、傍でそれを聞いていた義父が、「そんなもん、人間は生まれたときからどんなもんになるか決まっとるんじゃい。どんな育て方してもおんなじじゃ」と一刀両断にして、思わず、それもそうかもなあと納得したそうだ。ぼくも、まさに、その義父はかなり正しいような気がする今日この頃である。


ぼくの机の上は、読みかけの本やマンガに雑誌、開封していない郵便物や整理していない写真に加え、日々のローテーション入りしたCDが山積みになっていて、常にぐちゃぐちゃになっている。今日、帰宅すると、そのCDの山が少し低くなっているのにすぐ気付いた。ベッドにはトイレットペーパーが転がり、床にはおもちゃが散らばっているという周囲の情況から見ても、子どもの仕業だということはすぐに察しがついたけれど、机上から消えたCDの行方だけがわからない。机の下やベッドの陰、枕の下まで探したが見あたらない。あちこち探し回って、ようやく見つけたその場所に驚いた。
ほぼ満杯にぎっしり詰め込んであるCD棚の、ほんのわずかな隙間を見つけて、消えた数枚は押し込まれていた。棚は、もうあとたったの1枚も入る隙がない状態にまでパンパンになっている。下の娘の仕事であることは間違いない。机の上のCD山が中途半端に減っていたのは、棚が完全に満杯になったところで作業を断念したからだろう。
これはこれで、またちょっと特殊な行動なのではないかと思っている。